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俺カルブログ vol.2 後編 ファミコンランド─幻のチェーン店、資料なき記憶の交差点
■ 地図・電話帳・断片資料の照合 当時の大手ゲームチェーン店は、ファミコン通信などの全国誌に広告を出稿するのが常だった。広告を出せば特集記事が組まれ、店舗外観などの写真も誌面に残る。結果として、後年の資料としても活用できる。 しかし、ファミコンランドはそれを行わなかったようだ。全国150店舗以上を展開していたにもかかわらず、一次資料が極端に乏しい──それが、このチェーンの特異性であり、謎でもある。 GAMEPIAvol.11991年12月25日発売号P171「中古販売店活用術」にファミコンランドって書いてあるって興奮したのだが… GAMEPIAvol.11991年12月25日発売号P174「中古販売店活用術」にて「よく看板を見かけるあの系列店ではない」とのこと。本当に資料が無いのだ。 だからこそ、ゼンリン住宅地図、ぴあMAP、タウンページ、WEB上の断片、そして記憶が、重要な手がかりとなる。 たとえばゼンリン地図では、「二代目一宮店」が1992年には未掲載で、1993年に初めて記載されている。これにより、1992年開店の特定が可能となる。これは、

俺カル
10月13日読了時間: 7分


俺カルブログ vol.2 中編 ファミコンランド─幻のチェーン店、資料なき記憶の交差点
俺の思い出 MOTHERを売ってエロを買った──嘘偽りの通過儀礼 資料を探す道中で、俺は気づいた。俺の中には確かに存在している“ファミコンランドの一場面”がある。 それは、MOTHERを売ってエロを買った日の記憶だ。 MOTHER──1989年7月27日発売、任天堂の名作RPG。糸井重里が手がけたシナリオは、母性・家族・郷愁をテーマにしていた。「おかあさん」をタイトルに冠したゲームは、当時の俺にとって“優しさの象徴”だった。ゲームで初めて泣くほどの感動をくれた一生持ってようと誓ったゲームだ。赤い箱も説明書も美しく、文化の香りが漂っていた。中古市場でも人気が高く、状態が良ければ高価買取されるタイトルだった。 一度手放したが、再購入したほどの超名作。シナリオも音楽もとても良い。どんな悪人も母の記憶にゃかなわないのよ 。 でも俺は、それを売った。目的はただ一つ──麻雀学園 東間宗四郎登場。PCエンジン初の脱衣麻雀。1989年11月24日発売、フェイス製、HuCard。 当時の家庭用ゲーム機には、CEROのような年齢レーティング制度がまだ存在していなかっ

俺カル
10月13日読了時間: 6分


俺カルブログ vol.2 前編 ファミコンランド─幻のチェーン店、資料なき記憶の交差点
■ 俺カルチャーMAPの原点 田んぼと畑しかなかった田舎から、一宮へ移り住んだローティーンの俺。山や川で遊んでいた日々から、コンクリートの街へ。その変化は、期待よりも不安が大きかった。そんな俺の不安を吹き飛ばしてくれたのが、街に点在する“綺羅星のような店”たちだった。 ゲームセンター、本屋、おもちゃ屋、CD屋、レンタルビデオ、楽器屋、スタジオ、カラオケ——そして何よりも、ファミコンランド。 ファミコンランドは、俺にとって「都市文化との最初の接点」であり、「放課後劇場」だった。その店のシャッターの色、ロゴの竜キャラ、買取カウンターでの記憶。すべてが、俺カルチャーMAPの出発点となったといっても過言ではない。 ファミコンランドの創業地が愛知県尾張一宮市である。1985年当時の人口は34万。かつては繊維の街として隆盛をしていたが、地域の産業構造変化により財政力が弱く、現在は地方交付税を受けている都市となった。とはいえ名古屋のベッドタウンとして人口は伸びており2025年現在37万人となっている。 ■ ファミコン王国の仕掛人──飯田欽次...

俺カル
9月21日読了時間: 9分
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